各線JR元町駅・阪神元町駅より徒歩4分 斜視・弱視専門眼科クリニック「やさしい目のクリニック」
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斜視とは目の視線がズレていることを指します。私たちは、何も考えなくても両目でものを見て、ものを立体的に見ることができています。これは、誰もが最初から持っている能力ではなく、良好な視力の上に、両目の視線がそろっているからこそ身についた高度な能力と言えます。右目の情報と左目の情報を頭の中でひとつにしているのです。この能力を獲得するためには視覚の感受性期(図1)が大切で、この感受性の高い時期に両目で見ているかが鍵になってきます。斜視の治療の目的のひとつに、両目でものを見る機能=立体視を育てる、ということがあげられます。
図1
アトロピン点眼による屈折検査を行います。受診日に合わせて5日前から点眼してもらいます。この検査は内斜視のほとんどの方に行います。
初診時はサイプレジン点眼での精密検査を行います。目薬の検査だけで1時間かかります。
頭を一方に傾けています。
初診時は、外斜視と同様1時間かかる目薬の精密検査を行います。
斜視が原因で頭を決まった方向に傾けています(頭位異常といいます)。片目を隠すと頭位異常が治る場合は、目が原因で頭を傾けていると考えられます。目が上下にズレている斜視です。
小学校低学年くらいまでに直しておいた方が良いでしょう。
子供と違い、大人は立体視が育っていますので、目がズレると物が二つに見えたり、一つに見るために頑張って目を寄せるため目がとても疲れます。ぼやけて見えることもあります。
子供のころからの斜視が悪化している場合は、斜視手術をすることで良くなりますが、脳腫瘍や脳梗塞、重症筋無力症や甲状腺眼症など、悪い病気が原因で斜視になっている場合もありますので、採血をしたり頭部MRIを撮ったり精密検査が必要です。
大人になってから生じた斜視は出来るだけ早く専門医の診察を受けましょう。どのような斜視も約半年経過して自然に治らなければ、そのままの可能性が高いと考えられています。
まず私たちの目の基本からお話しします。
私たちは生まれた時から誰でも良好な視力を持っているわけではありません。
図2に示すように、まず眼球が正常で、そのうえで、ものを見る膜(網膜)にピントが合っていると視力が育ってきます。そのためには視覚の感受性期というものが非常に重要で、目で受け止めた視覚情報を頭(視覚中枢)に正しく送ることで、頭の中でものを見る能力(視覚)が発達します。私たちは目でものを見ているのではなく、頭でものを見ているのです。
感受性は1歳半くらいにピークがあり、3歳くらいまでは非常に高いのですが、そのあと徐々に低下しヒトでの感受性期はおおよそ7-8歳といわれています(図1)。ですので、幼い頃にしっかり網膜にピントを合わせることが重要です。
では、どのような場合、視力が育ちにくいでしょうか。
図2
屈折異常弱視
近視は眼球が大きいので、網膜の前でピントが合っています(図3a)。近視の人は遠くのものが見えませんね。けれど、ものを近づけるとピントが合います。だから視力は育ちます。
一方、遠視の人は眼球が小さいので、網膜の後ろでピントが合っています。ものが近づくとますます網膜にピントが合わなくなります(図3b)。そのため視力が育ちません(屈折異常弱視)。眼鏡を掛けなければ弱視になります。
図3a
図3b
不同視弱視
右目は近視も遠視もない良い目で、左目に強い遠視がある場合(図4)、遠視の強い目には正しい視覚刺激が入りませんので視力が育ちにくくなります。
図4
形態覚遮断弱視
例えば1歳くらいの赤ちゃんが右目にケガをして、1週間眼帯をしたとします。そのまま放置していれば右目は間違いなく弱視になります(図5)。眼帯している間に、頭の中で「右目よりも左目の方がえらい」という眼優位性がついてしまうからです。
片目に先天白内障や先天緑内障あるいは先天眼瞼下垂があるなど、片目にハンディキャップがある場合、弱視に注意が必要です。
図5
斜視弱視
片方の目がズレている場合、ズレている方の目は使っていないので視覚刺激が頭に届いていません。ですので、子供は全く困っていないのです。大人なら複視が生じています。
視覚刺激が頭に届いていなければ視力は発達しませんので、いつも決まった目がズレている場合、弱視に注意が必要です(図6)。
斜視のお子様は弱視にも注意が必要です。
図6